劇団しようよの大原です。

今回の『セミヘブン』の観劇をご検討いただいているみなさまにお知らせがあり、こうして文章をしたためている次第であります。

 

この度、戯曲を全編公開することにいたしました。

 

昨年末、京都公演がありましてそこで「性暴力」を内包する作品を事前の告知無しで上演するのはいかがなものか、と、大変貴重なご意見をいただきました。

すでに東京公演に向けての告知の中でもその旨はお知らせし始めております。

しかし、そういったご意見が出たことは、自分の中では大変驚きであり、大きな学びとなりました。

 

僕にとって劇場とは、自分と社会の接点だ、と考えています。

その中で今作を上演するに当たって、性的描写を描いていた事実と自覚はあるのですが、「性暴力」という言葉の持つ範疇のことを自分が描いているということに気づいていませんでした。事前の告知をせず、作品を上演したことで、不快に思われた方々に対して申し訳なかったなとお詫びしたい気持ちでありますし、大変お恥ずかしい思いでいます。作り手として今ひとつ配慮が足りていなかった事実を、しっかり受け止めないといけないなと感じています。この時代を生きる作り手としての倫理観を今一度見つめ直す機会になりました。

 

京都公演でも遅ればせながら「性暴力を内包した作品である」ということを事前に告知したところ、やはり作品をご覧いただくのを躊躇された方々、観劇を見送った方々もいらっしゃいました。ですが、率直にいうと、作り手としてはそういう判断をしてくださったことについて、言葉を選ばずに言うと、少し惜しくも思っています。僕としては、その性暴力の描写の事実こそを描きたくて今作を作ったわけではないからです。それに終始しない物語を描いたつもりでもいます。ぜひ、作品の核となる部分を、多くのお客様と一緒に目の当たりにしてほしい、そう願っています。

 

そこで、一体どんなことが描かれているのか、どのような深度でそういった描写が行われているのか、もしご観劇を検討されている方で不安に思ってらっしゃる方へ何かフォローができないか、と思い、事前に戯曲を公開して内容をお知らせするのはどうか、と思った次第です。

 

つまり観たいけど不安だからどんなことが行われるのか事前に知ってもらう機会を作らせていただいたということです。

 

どうでしょう?もしよろしければご一読いただきぜひ劇場へお越しいただけませんでしょうか?

もちろん京都公演では、たくさんの絶賛のお声もいただきました。「性暴力」の描写の有無に終始しない作品作りに努めたつもりです。

3年ぶりの劇団新作公演として自信を持ってお届けできるんじゃないか、そう息巻いています。

ぜひ、劇場でお会いできますことを願っています。

 

ちなみに!劇場では戯曲の販売も行っております。確かにこのような経緯で戯曲を公開することになりましたが、もし作品をご覧になられて良いな、と思っていただけたあかつきには、ぜひ戯曲ご購入くださいね。

 

このようなご時世にたくさんの方にお越しいただくのは難しい状況かもしれませんが、できる限りの対策を練って作品上演に臨みたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

 

劇団しようよ 大原渉平

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